この度、寺尾パワーズは、ベストコーチングアワード2021に選ばれました。

少年野球におけるコーチングとして必要な考え方とは何か、何を目標とし、何を優先させるべきかに、少し触れたいと思います。

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ベストコーチングアワード2021の受賞にあたり

この度、一般社団法人スポーツメディカルコンプライアンス協会主催のベストコーチングアワード2021に、寺尾パワーズがSingle Starで選ばれました。

 

これは全国の小中学校の野球チームや指導者のコーチング力や環境作りに対して評価、表彰する取り組みです。子供たちの将来を見据え、怪我や障害を起こさないための指導(メディカル面)や、楽しく野球に取り組める環境作り(コンプライアンス面)など、改善に前向きに取り組む活動が評価されます。

 

 

実のところ昨年度もエントリーはしたものの、受賞には至りませんでした。従前より子供たちのためになることを考え、取り組んできたつもりでいました。今回改めてエントリーして気づいたことは、当時はまだまだ指導者として勉強不足であり、もっとやれることがあることに気付かされました。

 

評価方法が50項目程度のアンケートに回答するだけのエントリーで、そのチームの何がわかるのか・・・昨年度は指導者からそんな意見も聞こえてきました。

しかしながら近年ネットが急速に発展し、そのチームの噂は瞬く間に広がります。このような状況ですので、取り組んでいないことをあたかも取り組んだかのような嘘の回答をしたとしても、すぐにわかってしまいます。表面だけの実の無い取り組みを実施していても、成果が伴わず、意味を成しません。

そのように考えますと、このアンケートだけでの評価手法も、現代においては決して間違った手法ではないと考えます。

 

 

そして何より、同協会からの講演動画やアンケートの質問項目自体が、指導者に気づきを与えるきっかけにもなっています。

パワーズでは、ピッチスマートの導入も、食育も取り組んでいません。Liga Agresivaの取り組み、BBCOR.50の存在意義、クラムジー症候群など、同協会の講演動画を観て初めてこの言葉を知りました。

アンケートには嘘の取り組みは書けませんので、指導者に喫煙者がいることも正直に回答しました。

それでも今回、寺尾パワーズを評価して頂いたことは、このベストコーチングアワードの本質をチームとして正しく捉え、指導者が子供たちのために努力し、常に改善できることを考え、より良くしていこうと取り組んでいる姿勢が伝わったためだと思っています。

その点を高く評価していただいた点は、指導者冥利に尽きます。

 

 

試合をしていると旧態依然の野球指導をしているチームにも出会います。どこからか怒声罵声も聞こえてくる時があります。ひどい時は観戦している保護者からも聴こえてくる時があります。自チームだけではなく、相手チームに難癖つけて、聴こえるように批判する方もいます。

このような指導が良しと考える方も未だ多くいます。しかしながら、近年コンプライアンスの重要性が高まり、時代と共に現代の研究された指導方法や、考え方へシフトしていかなければならない時に来ていると思います。野球人口の減少率が、少子化以上に進んでいることが、裏づけています。サッカーやバスケットなど他のスポーツ界でもスポーツ科学、医学の分野で躍進しています。野球以外のスポーツに人気が集まってしまうのもうなづけます。

また、相手チームの選手が超ファインプレーをしたら、たとえ劣勢の状況下であっても、相手を讃えるくらいの器量をもち、リスペクトする気持ちを持ち続けたいものです。

 

一方、メディカル面では、子供たちは目先の成長や勝利に流されがちになり、ついつい痛みを我慢して無理をしてしまうことがあります。そのような焦る気持ちを抑えるために、指導者や子供はもちろん、保護者も含めて、休む時はしっかり休む、無理して試合に出させない、そもそも余裕のある試合日程に調整するといった、チーム全体、いや連盟や業界全体で改めていく必要があります。

さらに、指導する側も、学童時代にスーパースターを育てることを優先目標とするのではなく、

・永く楽しく野球を続けられる環境を提供し、

・年齢にあった適正な技術指導と、

・必要な知識を学ばせ、

・自ら考えて行動できる

そういった子供を育成していくことが大事ではないかと考えます。

 

 

最後に、ベストコーチングアワードという野球界にとって素晴らしいインフラをご提供いただいているスポーツメディカルコンプライアンス協会様のご尽力に感謝いたします。

メディアでは優勝チームや活躍した選手を讃え、結果を出した監督や指導者が注目されがちになりますが、その過程に至るまでのプロセスに着目したこの取り組みが、結果や成果ではなく、育成の評価基準としてのデファクトスタンダードとなることを期待したいと思います。

 

寺尾パワーズは1つ星受賞なので、ベストではなくまだグッドなレベルだと思います。これらの取り組みはすぐに結果が表面化しません。5年後か10年後に効いてくることかと思います。また今のパワーズは1年,2年で作りあげられたものではなく、指導者間で受け継がれてきた良い伝統の継承、そこに指導者の新たな学び、知恵の結集の上に立っているものとあらためて感じております。

今期も残り僅かとなりました。課題は多くありますが、地道に改善し更に発展していけるチームにしていければと思います。